「就活狂想曲」に学ぶ就活の嘘 死んでいるのは誰なのか
記事更新日 2022年10月29日
この記事内容の監修者
- ジョブトラ編集部
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茶髪はだめ。おでこは出して。
黒いスーツを着て。グレーは減点。
表情は明るく。
柔らかく元気に。
自己分析をしっかり。
ポジティブな話を書こう。
なに?「そんなの本当の自分じゃありません」だって?
いいんだよ、そんな細かいことは。だって、内定、欲しいんだろ?
就活はまるで人格否定だ。
アニメーション「就活狂想曲」
化粧やファッションも自分の自己表現の一部なのに。
表情が暗くたって、性格までおかしいと決めつけるのはひどい。
内定のためには、自分を偽らなければいけないのか?
就職活動をしていて、このように思うことがあるだろう。
私も、「就活」に、何度も自己否定された気持ちになった。
それでも、私たちは就活しないと生きていけない。
実際には他にも道はあるのだけれど、就活すると決めてしまった。
私たちは、どうしたら就活に殺されずに社会人になれる?
就活で否定されることをどう捉えたらいい?
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みなさんこんばんは。川端いちごです。
「自分と就活の妥協点を探る」
これがこの記事で私が書きたいことです。
「こんなの論点のすり替えだ」と、納得できない人もいるでしょう。
私も納得していません。
でも、私たちは生きていかなければいけない。
就活をすると決めてしまった。
少しでもみなさまが就活の自己否定から逃れられることを祈って、この記事を書きます。
【就活狂想曲】就活は「幼稚園から小学生になる」ようなもの
幼稚園・保育園から小学校にあがるときのことを考えてみましょう。
それまでは1日中遊んでいたのに、小学校に行ったら机に向かってじっと勉強しなければいけません。
毎日宿題がでます。
テストもあります。
成績がつきます。
これは、私たち学生にとっては染みついたルールですよね。
でも、小学校1年生のときは、戸惑った記憶もあると思います。
私たちは、まず就職活動を、「私たちにいま起こっているのは、幼稚園から小学校にあがるときのような変化だ」と捉えるべきなのではないでしょうか?
その理由は、幼稚園の文化と学生の文化が異なるように、
「学生の文化と社会人の文化が、いろいろと異なるように思えるから」です。
私は学生なので「社会人の文化」については察しただけですが、このような違いがあると考えています。
<学生の文化>
・成績という明確なもので評価される
・テストさえ受ければ学生になれるので、いろいろな雰囲気の人が学校にいる
<社会人の文化>
・成績評価が曖昧になり、その人の見た目、話し方、発言などを総合した「雰囲気」によって評価される
・社会人になるために必要とされやすい外見・性格があるので、「雰囲気」の幅は学校よりも狭まる
私たちはこれまで、勉強をしてテストさえ受ければ「学生」という身分を手に入れることができました。
成績評価は明確です。
素行不良の域に達しない限り、「雰囲気」が悪いからといって学校を追い出されることはありません。
しかし、社会人は違います。
「評価」が曖昧になります。
社会人が共通認識としてなんとなく持っている、「こういう見た目で、こういう話をする人はだいたい〇〇な人だ」というこれまでの経験が、評価の基準になっています。
「見た目が適切で、ポジティブっぽい人」が、社会人では学生時代よりも信用される傾向にあります。
そのため、学生時代のように派手に髪を染めている人や、ネガティブで鬱々と哲学的な思想にふけっているような人は減るのでしょう。
(業界によってはそういう人はいるでしょうし、まったくいないわけではありませんが)
こんなにも評価基準が変化するのは、6歳で小学校に入ったとき以来の、大きな価値転換ではないでしょうか?
【就活狂想曲】就活は適応の問題である
さらに難しいのは、小学生には(私立でなければ)自動的に進学できるのに対し、社会人には自動的になれないということです。
要するに、「小学生になるために、小学校を選ばなければいけない」というのが、私たち就活生のやっていることなのではないでしょうか。
幼稚園児が、「なんで勉強しなきゃいけないんですか!ぼくは勉強とか嫌いだし、遊びたいのをがまんしてそういうことするのは自分に嘘ついているっぽい感じがしていやです!」とかいったとします。
それでも、「まあそういうものだから...大学行くなら18歳までは勉強しなきゃいけないし...早く慣れるしかないよ。がんばれ...」としかいえません。
この構造を就活に当てはめると、「社会人の文化に文句をいっても仕方がないから...早く慣れるしかないよ...がんばれ...」ということになります。
幼稚園児なら、小学生になってからゆっくり適応していくことができます。
けれど就活では、「社会人になる前にどれだけ社会人になれるか」という「適応力」が問われているといえるのではないでしょうか。
【就活狂想曲】死んでいるのは私たちではない。学生の文化だ。
私たちは、多かれ少なかれ、これまでの人生で「適応」をしてきたはずです。
幼稚園児から小学生になるときはもちろん、見た目や振る舞いなど「雰囲気」についてもそう。
小学校から中学生になったり、中学生から高校生になったりしたところで、ふと周りを見て、自分をアップデートしてきたときがあると思います。
就活はその変化のスピードが早く、おかしいくらい過剰で、しかも強制的なところが異常です。
自発的な変化でないから反発したくなるし、自分を否定されたような気持ちになります。
でも少し待ってください。
今のあなたは、学生の文化のなかで多かれ少なかれ、認められてきたものであったはずです。
「就活狂想曲」にでてくるオシャレなお姉さんは、大学だったら勝ち組だったでしょう。
ただ「社会人の文化」では、悲しいことにそのままでは受け入れられない、というだけ。
学校で弱者になりがちな、オタクだってぼっちだって、(いじめを除いて)学校は私たちを弾き飛ばすことはなかったはずです。
友達がいませんと素直にいっても、学生でいられないほど重大な不利益は被らなかったはず。
けれど、これも「社会人の文化」では学校以上にとがめられることがある属性だというだけです。
「学生の文化では認められていたものが、社会人の文化では認められない」
これが就活における人格否定の正体なのではないでしょうか。
そう考えるなら、就活で否定されているのは私個人の「人格」ではなく、
このような人間にも最低限の居場所を与えることができていた「学生文化」なのではないでしょうか??
【就活狂想曲】リクルートスーツをまとって、学生文化の喪に服そう
とはいえ、これはただの論点のすり替えです。
「この自分が自分のままで社会に適合できないことがつらい...。私は社会不適合者になってしまうのだろうか...」と思っているとします。
そのときに、「あなたのつらさって、学生の文化では認められていたものが、社会人の文化では認められないってことなんですよ〜。だから、あなたが否定されているんじゃなくて、実は、否定されているのって、学生文化なんですよ〜!」といわれても、「だからなんなの!!なにがちがうの!!」という感じです。
この文章の目的は、完璧な論を組み立てることではありません。
どうしたら就活の自己否定から逃れられるか、ということを考えることがこの文章の目的です。
そこで私は、まず「自己」を無理やり「学生の文化の産物」とし、さらに、就活の自己否定のつらさを、身にまとうものに意味づけることとしました。
悪しき就活の象徴、リクルートスーツです。
「さよなら、学生の文化...」と、リクルートスーツを着て、学生文化に別れを告げましょう。
「さよなら、学生の頃の私...」と、無闇に自己を悼んではいけませんよ。
自分が死にかねないですからね。
(恥ずかしい中二病の記憶として過去の自分を葬りたい場合はOKです)
とはいっても、いや、学生文化だって、そんなに愛すべきものではなかったかもしれません。
それでも、かれこれ15年ほどお世話になった学生の文化です。
つらいこともあったけれど、せいぜい私たちを学生という身分に留め置いておくぐらいのことはしてくれた学生の文化です。
黒いスーツを着て、面接という名のお葬式に行きましょう。
そこで、学生の文化を焼き、骨にするのです。
「企業の方とお会いするのに失礼でない丁寧な格好」とかいってるリクルートスーツに、こっそりこんな意味をまとわせるのは、ちょっとだけ面白くないですか?
多分面白くない人は意味わかんないし面白くないと思います。
けれど、こういう秘密の意味づけを、ちょっと面白いと思える人がいたら、嬉しいです。
お友達になりましょう。
私とこっそり同盟を結んでください。
これを読んで共感してくれたあなたとわたしは、せいぜい就活の自己否定に苛まれつつも、それを学生文化のせいにしてなんとか「自己否定」を逃れ、リクルートスーツをまとって「面接」という名の葬式でこっそり学生文化を焼きましょう。
そうやって、この就活をなんとか生きて乗り切りましょう。
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