就活生を洗脳する「プロフェッショナル論」の闇と、本当に社会で生き残れる人材になる方法

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記事更新日 2022年12月05日

30秒 就活力診断!

この記事内容の監修者

ジョブトラ編集部
ジョブトラアカデミー編集部です。 早期内定をサポートする、リアルな体験談やコラムを発信しています。

こんにちは。かねどーと申します。

外資コンサルやスタートアップで10年ほど働いてきた経験から、就活生や若手社会人に向けて情報を発信しています。

 

皆さんは就職活動をしていて、次のような話をする人に会ったことがありますか。

 

「プロフェッショナルは、クライアント/お客様の利益を最優先に考えなければならない」

「プロたるもの、付加価値を最大化するために手間や費用を惜しんではいけない」

「プロフェッショナルは組織に依存せず自分の能力によって生きる」

 

こうした言葉を並べて学生の意識を高揚するビジネスマンや人事担当者を見かけたら、眉に唾を付けて5割引で聞かなければいけません。

 

彼らは当人が意識する・しないに関わらず、会社や経営者にとって都合がよく、多くの就活生や若手ビジネスマンにとって危険な思想を発信しているからです。

 

この記事では耳ざわりのいいプロフェショナル論を一度かなぐり捨てて、「生き残る」人材になるための方法をお伝えします。

 

プロフェッショナリズムは形を変えた昭和の労働観

「会社のために自分や家庭を犠牲にして働け」という労働観に諸手をあげて賛同する人は、きっと皆さんの中にあまりいないことでしょう。

 

多くの人が、そうした価値観を前時代的であると捉えています。

 

一方、冒頭で触れたようなプロフェッショナルの姿は、特に外資系企業やスタートアップで働くビジネスマン、そしてそうした企業を目指す就活生の間で広く受け入れられています。

 

これは不思議なことです。なぜなら2つの思想は、奉仕するものを「会社」から「クライアント/お客様」に、拠って立つところを「組織」から「自分自身」に言い換えただけで、結果ほとんど同じことを言っているからです。

 

前者はいかにも会社が利益のためにしている主張に見えますが、後者は自分自身の職業倫理や美意識のような姿をしてやってくる分、より巧妙とも言えます。

 

昭和の労働観とプロフェッショナル論の共通点は、「自分自身が必要とする収入や心理的安全性を、どのようにして継続的に確保していくか」という観点や、ワークライフバランスの観点が抜け落ちている所です。

 

本来プロフェッショナリズムは確固たる専門性を身に着けた人の職業倫理ですから、既に技能や経験があって就職に困らず、キャリア設計も健康管理も自分でできる中堅以上の社会人が自らプロフェッショナリズムを意識する分には問題ありません。

 

そうして就活生はウォーボーイズになる

問題はまだ技能や経験がないために、足元の安全確保がおぼつかない就活生や若手ビジネスマンの場合です。

 

その状態でプロフェッショナリズムというある種「極端」な思想を正しいものとして植え付けられた人は、異常な労働環境に鈍感ないし無自覚なまま自らを犠牲にして働くビジネスマンになり、そうした働き方に充実感を感じるようになり、やがて自分より立場が弱い後輩社会人や就活生を同じように「洗脳」するようになります。

 

そして、それら全ては彼らの私生活や健康を代償にして、クライアントや会社に利益をもたらします。

 

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」では悪役のリーダーであるイモータン・ジョーが、戦いの中で死ぬことを至上とする宗教を作り上げ、その信者であり戦士でもあるウォーボーイズ達を組織して水源を支配していました。

 

ろくに働いたこともなく、どこかの社長やコンサルタントの著書を読んで無邪気にプロフェッショナリズムを口にする就活生の皆さんは、このウォーボーイズ達と同じです。槍を担いで自爆する兵隊になろうとしています。

病んでも倒産しても自己責任のプロフェッショナル

昭和の労働観には、「会社が社員の面倒を最後まで見る」という建前が一応ついていました。軍隊であれば高齢や傷病により引退した軍人は、多くの国で手厚いケアを受けられます。ウォーボーイズも死後は英雄の館に行けるかもしれません。

 

しかし、プロフェッショナリズムを標榜する外資系企業やスタートアップでは全てが自己責任ですので、皆さんが激務で心身を壊せば「期待値に到達しなかった」という評価を下され、待遇を引き下げられるか退職を勧められることでしょう。

 

体を壊さなくても、会社の都合で部門や会社が丸ごとリストラされること、倒産すること、買収されて翌日から全てが変わることもあります。

世界の経済状況はご存じの通りで、不況であればなおのことです。

 

必要なのは「プロフェッショナリズム」でなく「傭兵根性」

 このような荒涼とした世界で、今はまだプロフェッショナル未満の就活生や若手社会人が生き残るにはどうすればいいでしょうか。必要なのは、まず自分が確実に生き残ることを最優先するという強い意思です。

 

たとえクライアントが不満を覚えようと会社が潰れようと、最低限あなたが健康で、どこかで働き続けられているのであれば失敗ではありません。もちろんクライアントを軽視しろという話ではなく、あなた個人としては自身の健康をクライアントの利益より優先しろという当然の話をしています。

 

(当然の話をするのは、これができずに心身を壊した人を沢山見たからです)

 

どう生き残っていくかを考えるには、ヒポクラテス全集(医師の職業倫理に関する本)を読んだり、たまたま生き残って強くなった人の言葉を聞くよりも、たとえば傭兵の歴史を学ぶのがよいでしょう。

 

国や軍隊のあり方が変わっていく中で、彼らがどのようにたくましく生き抜いてきたかについての記録は、外部環境に振り回される就活生に多くの学びと自信をもたらします。

 

参考資料|『傭兵の二千年史』

 

本当に社会で生き残れる就職先選びとその後

 以下では、生き残るための就職先選びと、その後の働き方についてご説明したいと思います。

 

Webサイトから読み取る危険信号

 

まずwebサイトで経営者のメッセージや経営方針、採用情報等を読みましょう。以下のような言葉があまりに多く出てきたり、強調されている会社は黄信号です。

 

・お客様第一主義

・プロフェッショナル

・アントレプレナーシップ

・仕事の充実/やりがい

・実力主義

・早期の昇進

・OJT(オンザジョブトレーニング)

 

ただしWebサイトは表現の上手い下手もあるので、実際には次で説明するように、実際に働いている人と会わないと断定できません。

 

就活生や社員を「下げる」会社は非推奨

 

OB訪問や面談をすると時々、下のように学生を下げる発言をしてくる人がいます。

 

「うちの会社に来れば、自分がいかに未熟かわかる」

「大学で学んだことは、社会では何の役にも立たない」

 

こうした発言をする人自体はどの企業にもいますが、それが社長や上長だった場合は赤信号です。

 

私が経験した事例を紹介します。コンサルティングファーム時代の先輩(転職済)から「現職の社長が経営陣と働く人を探しているので、話だけでも聞いてくれないか」と言われました。

 

そこで面談に行ったところ、初対面の社長から「君はつまらない仕事ばかりしているね」「うちに来れば育ててあげるよ。3年は丁稚(でっち)だけどね」などの言葉を投げかけられ、その日のうちに先輩ごと連絡を絶ちました。

 

これをやったのは外資系企業に勤めている人ならほぼ誰でも知っている会社ですが、こうした言葉をかけられて心酔してしまう人を狙って集めているのだなと非常に印象が悪かったです。

 

ワークライフバランス軽視を強要する所も非推奨

 

大前提として、コンサルやスタートアップに行く以上ワークライフバランス否定派の社員は一定いますし、それ自体は何の問題もありません。

 

私が尊敬するコンサルティングファーム時代のパートナーも「最初の数年はワークライフバランスを一度忘れて思いっきり仕事に張ったほうが、後々どちらも高い水準でバランスが取れると思う」と言っており、一理あると思います。

 

問題はその価値観を社員に強要する、あるいはその価値観だけが正しいという空気を作る会社や社長です。有休をとらなかったり頻繁に休日出勤する社員がいることはいいですが(自分が経営者ならよくないですが…)有休を取ったり休日をゆっくり過ごすことに抵抗や負い目が出てくる職場は避けたほうが生存のためでしょう。

 

こうしたことは面接で確認しきれない部分なので、インターンやOB訪問も併用しましょう。インターンやOB訪問で会う人のキャラクターは、自分がその会社と合うかどうかを判断する上で参考になります。

 

私は就活生のころに複数外資系投資銀行・外資系コンサルティングファームのインターンに行き、そこで人との相性を見てコンサルティング業界志望を明確にしました。

 

社外に複数の相談先を持とう

 

自分の労働環境やそれをどう感じているかについて、相談できる相手を社外に複数持ち続けましょう。(できれば近い世代が良いです)その人たちの言うことを聞く必要はありませんが、自分の状況を外から客観的に確認してもらうことは仕事に限らず大切です。

 

絶対に睡眠を軽視しない

 

どんなに忙しくても6時間未満の睡眠が3日以上続く状態は避けましょう。1日や2日頑張りきることでバリューがぐっと増加するタイミングはありますが、連日6時間未満の睡眠で仕事が完成しない状況は早期に諦めて「ここまでしかできません」と仕事を投げ出すべきです。

 

もちろん途中で投げ出すと周りにも悪影響が大きいので、理想的には仕事にコミットしてしまう前に上長と相談してヘルプを出すなど、別の手立てを打つのがよりよいです。

 

病院、特に心療内科に行くタイミングを早めよう

 

最初にセルフチェックの時間です。

 

・最近夜寝つきが悪い、眠れない、夜中に起きてしまう

・就活/仕事のことを考えると、動悸がしたり呼吸が不安定になったり涙が出る

・他のことをしている時、遊んでいる時や休んでいる時でも就活/仕事のことを考えて、集中できなくなったり辛くなってしまう。あるいは理由がわからないが楽しくない

 

これらの症状が少しでも出たら、お近くの心療内科を予約して担当医に症状を説明しましょう。あなたは少なくとも専門家の診断が必要な状態にあります。

 

特に心療内科や精神科にかかったことがない人は、通院に抵抗があったり精神の不調を甘く見ており、対応が遅いです。そしてモタモタしているうちに悪化して、何年も体を壊してしまうパターンを間近で繰り返し見ました。私も定期的に通院していますが、薬を飲んで楽になることは軽症のうちに薬を飲むのが最良のメンタル管理です。

 

生命保険も早めに入ろう

 

心療内科に早く行くのは自分の心身をダメージから守るのに有効ですが、あまり足しげく通っていると生命保険の審査が厳しくなります。

 

ライフネット生命などネット系の生命保険会会社なら保険料も安いので、入る気がある人は社会人1年目など早い段階から入っておくとよいでしょう。自身や家族を守る保険のために、病院に行くのが遅れては本末転倒です。

 

まずは上長相談→異動願い→就職活動。退職届は最後

 

今の仕事がうまくいかなくなった時にすぐ退職をしたり転職活動をする人がいますが、それが自分にとってベストになるとは限りません。

 

会社や上長によっては仕事量を調整したり、別の部署に異動したいという相談に乗ってくれる場合もありますので、まずそれを試してみましょう。小さい労力で問題が解決するのであればそれが一番です。

 

転職をする場合も、退職を先に伝えてしまうと引き留め対応にエネルギーを奪われたり無給期間が出てしまう可能性が高いので、新しい就職先の内定を承諾し、転職活動が終了してから初めて退職届を出したほうがいいでしょう。

 

ただし心身の健康を守ることが最優先ですので、今日明日が既に耐えられないという危機的状況であれば先に退職することも考えられます。

 

補足:洗脳の手口について学ぼう

マインドコントロールの手口と、従業員や就活生の内面に入ってくるような企業の手口には共通点があります。例えば以下のようなものです。

 

・今までの自分を否定させる(就活生自身をこき下ろす)

・新しい価値観を刷り込む(経営理念やプロフェッショナリズムを信奉させる)

・通過儀礼を経てコミュニティの一員にする(ストレスの強いインターンや研修)

・他のコミュニティを切らせ、孤立させる(長い労働時間・拘束時間)

 

特に就職活動や転職活動がうまくいかず、自信をなくしてしまっている人にこうした手口は良く刺さりますので、あらかじめよく知って耐性を付ける必要があるでしょう。

以下は新興宗教の熱心な信者となった後に疑問を感じ、脱会した方の手記です。マインドコントロールの手口、自分はなぜそれにかかってしまったか、そこから抜ける過程について丁寧に書かれています(kindle unlimitedでも読めますし、購入の価値があります)。

[さよなら親鸞会 脱会から再び念仏に出遇うまで]

おわりに

この記事では会社に都合よく使い潰されず、どんな経済環境でも生き残る人材になる考え方や方法を説明させて頂きました。

 

大切なのはこれらの考え方や方法をできれば、就活や仕事で追い詰められて余裕がなくなる前から身に着けておくことです。

 

貧すれば鈍するという言葉があります。就活がうまくいかなかったり目の前のストレスに追い込まれている時ほど、冷静な判断力を失い、ブラック企業やカルト宗教に洗脳されやすいものです。

 

もちろんすでに取り込まれた人も、この記事を見て思う所があったのであればまだ手遅れではありませんので、自分の心身を持ち崩す前に心療内科に行くでも退職するでも適切な対応を取ってください。

 

これからの苦しい時代を、前向きに生存していきましょう!

 

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